「カホール・ラバン」エッセイ集
66.ちょっと一息「愛されるイスラエル兵」
「韓国の芸能人やスポーツ選手が兵役逃れをし、見つかった結果、徴兵されることになった」というニュースをネットで読んだ。
芸能活動やスポーツを中断することになるため、各界で活躍する人たちにとっては、徴兵に行くことは痛手であり、地位や人気が危ぶまれるとか。
イスラエルでは逆である。
有名人が兵役中となると、国民こぞって応援する。
イスラエル版「スター誕生」(オーディション番組)では、10人の最終候補者のうち3人が兵役中だった。テレビで映された楽屋裏では、毎回そのうちの誰かが「軍服」を着用していた(配属先から駆けつけたらしい)。結果、3人とも準決勝まで残り、決勝に残った3人のうちの2人が兵士、優勝者も女性兵士だった。その後、優勝者も準優勝者も、兵役と芸能活動を両立し、芸能界で活躍している。
また、イスラエルで大人気の18歳のアイドル歌手が、来年1月から兵役に就く。新聞のインタビューでもそのことに対して自分の意見を述べた。
有名どころでは、「黄金のエルサレム」を歌って一躍有名人になった、シュリー・ナタン。彼女は兵役中だった。歌が素晴らしいのに加え、その後の6日間戦争、そして歌っているのは兵士。これほどのキャスティングはない。だからといって、仕組んだわけではない。単なる偶然である。
なぜこれほどまで愛されるのか。
兵役とは国民に課せられた義務である。辛い義務であっても、国民として果たさねばならない。だからその辛い義務を果たす若者を応援しよう、という思想が非常に強いのだ。
上記で挙げたオーディション番組では、一般視聴者によるネット投票で勝ち残りを決める方式をとっていた。兵士が優勝したというのは、歌唱力などももちろんだが、「同じ応援するなら、兵役中の者を応援しよう」という考えを持つ人が非常に多いため、とも思われる。
アイドル歌手が「兵役に行きます」と言うのも当たり前のことである。もし彼女が、「もしもケガしたらテレビに出られなくなっちゃうし、兵役よりも仕事の方が大切だから、兵役にいくのは拒否します」なんて言ったら、間違いなく芸能界から干されるだろう。だからアイドル歌手も普通の同年代の女性に混ざって基礎訓練を受け、1年半の兵役を全うする。その傍らで芸能活動も続けるだろう。
ある意味、兵役に行く方が売れる。間違いなく、このアイドル歌手の人気はさらに上がるだろう。
(2004年11月18日 無断転記および抜粋・リンク禁止)